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■ 今回の「立ち読み」は ■
社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった
●そうか、「働くこと」「教えること」「本当のサービス」って
こういうことなんだ!
香取貴信・著
定価:本体1200円+税
ISBN4-7696-0769-5
2002年5月10日初版発行
---< Contents >-------------------------------------------------------
■「夢と魔法の王国」は大切なことを教えてくれる「魔法の学校」――はじめに
■ もくじ
■「第1章 「働く」って、こういうことなんだ」より
■ 著者紹介
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■「夢と魔法の王国」は大切なことを教えてくれる「魔法の学校」――はじめに
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みなさん、こんにちは!! 香取貴信です。どうぞよろしく〜!!
思い起こすと、東京ディズニーランドでアルバイトを始めたのが14年前。私
にとっては、ディズニーランドがいまの自分を育ててくれたといっても過言で
はありません。
というのも、むかしの私はただのヤンキー少年……。私が本を書くなんて、
学生時代の担任の先生にいっても、「うそ〜。また、なにいってんの!!」って、
絶対信じてもらえないでしょう(恥)。
ディズニーランドで働くなかで私は、「働くってどんなことか」や「教育」
の大切さ、そして「いま目の前にいるゲスト(お客さま)のことをいつも第1に
考えるサービス」とはなにかを、ここで知りあった愛情あふれる(ちょっと怖い)
上司や先輩、同僚たち、そして数多くのゲストに教わりました。そのなかには、
身も凍るような恐怖体験(笑)もあれば、ユーモアあふれる発想でのコーチもあ
り、まさに目からウロコの体験ばかり。
そうしたさまざまな体験を通して、ヤンキー少年だった私が社会人として成
長させてもらい、さらには企業の現場教育などのお手伝いをさせてもらうまで
になりました。
東京ディズニーランドは、ゲストにとって、永遠に完成しない「夢と魔法の
王国」です。そして、その王国で働くことになった私にとっても、ふつうの学
校では教えない大切なことを教えてくれる「魔法の学校」だったのです。
そんな私の失敗体験などが多くの人たちの役に立てばと思い、メールマガジ
ン「テーマパークが私の学校」を発行し始めました。そして今回、それを本と
して出版することになりました。この本が、部下を抱えていたり、これからリ
ーダーになろうとしておられる方、「働くってどういうことだろう?」と悩ん
でいる方、お子さんのいるお父さんやお母さんなどに、ちょっとでもお役に立
てたらとてもうれしいです。
最後になりましたが、まったく文章の苦手な私の尻をたたき、いつものよう
に最初の読者兼校正係をしてくれた上司の斉藤さん、いつも沢山の励ましをく
れたメールマガジンの読者のみなさん、本当にありがとうございました。
そして、私をいままで育ててくれた方々に、この本をささげます。
なお、ここに書かれていることはどれも実話です(一部、ちょっと大げさに
書いてるかもしれませんが)。また、登場する人物の名前はすべて仮名です(か
なり似ているけど)。
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■ もくじ
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第1章「働く」って、こういうことなんだ
第2章「教える」って、どういうことなんだろう
第3章「本当のサービス」って、なんだろう
第4章 テーマパークはいろいろなことを教えてくれる
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■「第1章 「働く」って、こういうことなんだ」より
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★仕事には、時給で考えなくてはならないものとそうでないものがある★
●よりによって人件費予算の担当に!!●
これは、私がパレードゲストコントロールの責任者になって、もうすぐ1年
というころのお話です。
私を含めパレードの責任者になった4人には、それぞれの担当業務が振り分
けられました。人件費予算担当・トレーニング予算担当・備品予算担当……な
どなど。
そして私が担当することになったのは、よりによって人件費予算担当のお仕
事!! むかしから数字を見るのも計算することも大嫌いな私にとっては、過去
最高の壁にぶつかることになったわけです。
まず最初に、私のようにはじめて担当するようなスタッフを集めて、業務に
ついての講習会が行なわれます。
最初のうちは真剣にメモをとろうとがんばっていた私ですが、だんだんと睡
魔に襲われ、気がつけば、となりの人に起こしてもらう始末……。
とうとう2時間の講習の半分以上も正気でいられないまま、講習会は終了。
なんだかチンプンカンプンの状態のままオフィスへ戻ります。
戻る途中のバスのなかで、一緒に講習を受けた人に、自分が寝てしまって聞
いていなかったところを教えてもらえばいいのに、私の悪いクセが出てきます。
「さっきのクラス、わかりました?」
「いゃぁ、ちょっと難しいですよね〜」
「でっしょ!! なにいってっか、ぜんぜんわかんないっスよねぇ〜」
「ハハハ……(苦笑)」
「だいたい、たった2時間のクラスを受けて全部わかれっていうのが間違って
んスよ!! そう思いません? これ受けてみんなわかるんだったら苦労しない
っつぅの!!」
「あぁ、でも、もらったテキストとか見れば、なんとなく理解できるようにな
りますよ」
「そうですかねぇ〜。でも、こんなの適当にやっとけば、なんとかなるか(笑)」
あとで後悔するとも知らない私は、こんな会話をしながらオフィスに戻りま
した。
●3週間で提出って、そりゃ無理でしょう●
オフィスで待っていたのは人件費担当の、私たちの上司です。
「クラスどうだった? ちょっとでも理解できたかな?
それでは、いまから自分の担当セクションの下半期の人件費の予算案を提出し
てもらいます。昨年度の実績を踏まえて考えてくださいね。
では、提出期限は3週間後。以上!!」
「……さっ、3週間って、いくらなんでも、そりゃ無理でしょう……」
クラスをほとんど寝て過ごしてしまった私は、去年の資料を渡されても、見
方さえわかりません。とりあえず、まわりの人に聞くしかありませんが、一緒
にクラスを受けた人には、恥ずかしくって聞けません。
それから家に戻って、テキストを開いてはみるものの、なんだかさっぱりわ
かりません。しかたなく、昨年つくった人をつかまえて聞くことに……。
「ねぇねぇ柔さん!! これって、どうすればいいんすかね?」
「あぁ、人件費予算ね。簡単だよ、ここはこうでしょう、で、これは……」
「……うーん。やっと、なんとなく見方とかはわかったんですけど……。
これ、去年のまんま出したらダメですかね? 昨年と変わらずって感じで!!」
「ば〜か!! ダメに決まってんだろ。よく見てみ!! 去年と今年の予想集客と
レベルが違うんだよ。だから、去年と同じじゃダメだね!!」
「えぇ〜。マジっスかぁ〜」
「マジ!! そんで、去年と同じようにして持ってっても、予算なんか通らねぇ
よ!! 説得するには、その根拠が必要なの!!」
「えっ、根拠!?」
「そう。だから、きちんとそのレベルを想定して考えること。それで、なにか
新しいやり方考えて、去年より減らすこと!!」
「そんなぁ〜。減らすっていっても、もう無理でしょ。いまだってきついのに
……」
「ばかぁ!! だからやりがいがあんだろぅ!!
おまえが考えた新しいやり方で、サービスレベルも保てて、去年よりちょっと
でも減らせたらすげーじゃん!!」
「……あぁ……」
●残業って意味、知ってる?●
しかたなく、私はなんとか考えることに……。とはいっても、通常は現場に
出て行かなければなりません。なので作業は、あいた時間を利用して進めなく
てはなりません。
そうなると、現場に出て行くことをいいことに、なにかしら理由をつけて、
作業をだんだんとしなくなってしまいます。そして、面倒で難しいことをあと
回しに……。
小学生が夏休みの宿題をあと回しにして、登校日前日になって必死になるの
と同じです。
自分の勤務内ではぜんぜん時間が足りないことを理由に、毎晩残業の日々が
続きます。残業をしながら必死に作業をしていると、私の横に背の高いあの人
影が……。
「よぉ!! 香取。おまえ、また残業してんの?」
「……はぁ……。町丸さん、これが終わんないんですよ!!」
「なんだぁ、人件費のやつか。俺は終わってOKだったよ!!」
「えっ!! 町丸さんも、この担当なんですか?」
「そうだよ。はやく出したほうがいいぞ!!」
そしてまた次の日……。
「よぉ!! 香取、また残業してんの?」
「……。だって……」
「この残業って、まさかつけてないよなぁ!!」
「へっ!? 許可もらいましたよ」
「おまえ、嘘だろ!! 何時間残業してんだよ」
「……。だって、しょうがないじゃないですか!! 俺だって、この仕事やるの、
はじめてなんですから」
「香取、残業って意味、知ってる?」
「……しっ、知ってますよ」
「知ってて、なんで毎日、残業がつけられるんだよ」
「だって、時間内に終わんないんですよ」
「俺は全部、時間内に終わったよ!!」
「そりゃぁ、町丸さんだからじゃないですか」
●この残業代は、今日来てくれたゲストのお金だぞ●
「やっぱ、おまえ、残業の意味わかってないね!!
あのなぁ、同じ課題を出されてて、俺やほかの人は終わってる。でも、おまえ
は終わってない。アトラクションと違って、パレードは、ずっとやってるわけ
じゃないだろ!! 作業する時間は、おまえのほうがあるってことだよなぁ」
「はぁ……」
「それで終わんないのは、作業量が本当に多いからなのか? そんなに難しい
からか?」
「いやぁ……」
「それは、おまえの能力が足りないから終わんないだけだろ!! それを会社は、
おまえに残業代払って、勉強のために投資すんのか?」
「……」
「よーく考えてみろ!! この残業代は、今日来てくれたゲストのお金だぞ。能
力が足りないなら自分で勉強しろ!! ここは現場じゃねぇーぞ。いつまでも時
給感覚でいるなよ」
そう言い残して、町丸さんは消えてしまいました。
冷静に考えてみると、町丸さんのいうことは正しいような気がします。
それまでの自分は、定時に終わらないものは全部残業だし、それをつけるの
は当然だと思っていました。しかも、業務のなかでクラスまで受けさせてもら
っといて、でも半分以上を寝てしまい聞いてないで……。
このときはじめて、仕事のなかにも、時給で考えなくてはならないものと、
そうでないものがあることに、気がつきました。
その日をさかいに、勤務終了後にオフィスに戻って作業をしていると、あの
大きな人影が横に近づいてくるのです。
「よぉ!! 香取、また残業してんの?」
「違いますよ!! これは勉強してるんです!!」
「そっか、勉強するために残るのは勝手だけどな!!」
町丸さんは「ニヤッ」としながら、またどこかへ消えてしまいました。
いま考えると、社会人としての考え方を、厳しい視点でコーチしてくれてい
たんだと思います。そしていまは、厳しくコーチしてくれたことに感謝してい
ます。
―――――――――― 続きは書籍でお読みください ―――――――――――
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■ 著者紹介
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香取貴信(かとり・たかのぶ)
1971年、東京都生まれ。もとはヤンキー少年だったが、高校1年のとき(1987年)
に東京ディズニーランドでアルバイトを始め、日々の体験のなかで「仕事」
「教育」「サービス」の本当の意味をつかみ始める。1995年、レジャー施設等
の現場運営コンサルティングを行なう(株)SHUU研究所に入社。ディズニーラン
ドでの知識と経験を活かし、各地のテーマパークで「来場するすべてのゲスト
に笑顔と素敵な思い出を」をテーマに活動している
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
(C)T. Katori 2002
(P)Kou-Shobo, Publishing Co.
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